「あれの絵を描いてな」
通常通り業務を行っていると、会長から声がかかりました。
さて、どの絵だろう。と考えを巡らせていると、広島の図面が出てきました。
会長がこの場所をどんな空間にしたいのか、お客様に分かりやすく説明するために
イメージスケッチを作成することとなりました。
この段階で私は、現場に行ったことはなかったので、ホントのイメージスケッチです。
図面を見ながら会長が指示をされます。
「ここはずっと竹や。その中にモミジやらちょこちょこ植える。
ここに5株立のがきて、ここは広場やから石張りや。
竜安寺垣みたいな垣を入れたいが、メンテナンスができんから石でやる。
竹の中からスッとした石を入れて、空間に間を創る。高さはこんなもんで座れるようなやつや。
ここは土盛りがされて、手前に百日紅が一本植わる。ふわぁ、っとこっちに広がっとるやつや。
この百日紅はもう、選んできた。写真はない。」
こんな感じで、会長は私に指示します。
そんな風に絵が描かれ、お客様が納得されて、工事が進みました。
これが、例の5本立ちの竹の掘り取り状況です。
会長はこの工事が決まったときからこの竹を選んでしました。
さて。
私が絵を描いたり、材料の準備をしている間、先に搬入した土がいい具合に養生されいます。
( 関連ブログ 『暮らすところを創る ① 土壌』 )
掘り取りが行われ、仮植し、積み込みが行われました。
竹の上に登って、何をしているんだ、と思われる方も多いかと思います。
縄を括っています。クレーンで積み込む際に、竹は一度空中でぶら下がります。
その際に、竹があらぬ方向へいってしまわないよう、縄で抑え、トラックに積み込むのです。
ちなみに、このクレーンは会長が操縦しております。
御年84歳とは思えない体力です。。。
京都産の竹およそ100本が現場に運び込まれ、植付が行われました。
竹は全て、頭を切らずに素で持っていきました。なので大きいものは、10mを越えました。
(※頭をきる=竹は高さを揃えるのに、よく上部を切ってしまいます。
他の樹木は切っても大きくなりますが、竹はそれ以上伸びることはありません)
植付は端から順番にやるわけではありません。
一言に竹と言いましても、それぞれの大きさがあります。
主役の位置を決め、それぞれの大きさ、役割を会長が見て、
「それはそっちに、それはあそこに」
と現場は進んだそうです。
端から植えれば、確かに簡単かもしれません。
でも、それ以上に重要なのは、空間の強弱を把握し、植え付けるということです。
そうやって、竹の植付が終了しました。
枯れがでないか、会長はずっと気にしていましたが、一本も枯れずに本日までもっています。
(株)植藤造園 設計 ブログ担当者