『木掘り』 とは?
読んで字の如く、木を掘る作業の事です。
植木畑の木を掘って現場に持ち込む際の一準備作業です。
最近は材料屋さんから木を買って現場に持ち込み植え付ける事が多くなり、
『木掘り』がちゃんと出来る若い衆が減って来ました。あかん事ですが。
20年程前は必ず『木掘り』が出来てからようやく現場に出して貰ったものです。
H(私)らが若い頃は「木掘りがろくに出来ひんもんがちゃんと植えられるけぇー。」
と良く言われたもんです。
『木掘り』は掘る時期や木の特性・植える場所の条件を熟知していなくては掘れません。
その事によって「鉢の大きさ」や「鉢高」「枝透かし」が変わってくるのです。
『木掘り』作業の言葉として・・・
「せせり」 「なか掘り」 「あごすかし」 「ごろまき」 「本巻き」 などなど。
「ばば垂れせんように、ケツちゃんと取っとけやー。」 よく言われました。
「せせり」はバチで鉢取りをする事。細かい上根もこの時切っておきます。
この作業は基本的に若いもんがする作業です。
一日中、中腰で行う為、徹底的に握力・腕・腰・ひざそして何より「こころ」が鍛えられます。
そして順に深く掘って行きます。出て来た根は丁寧に切ります。『なか掘り』
小さい木はこの様に簡単に根巻きをします。『ごろ巻き』
これも見栄えが大切です。
外に出す木はこの様に『本巻き』を行います。
遠くへ嫁入りする木は『本巻き』を行ってからまだその上から「菰」を巻き養生をします。
「化粧」の意味も有ります。
わら縄で根巻きを行う最後の一周を『上がり』と言います。「双六」と一緒です。
「そこで上がっとけ!」と先輩に言われ本当に木の鉢の上に上がった(登った)奴が居ました。
当然、先輩から死ぬ程怒られた事は言うまでも有りません。
今の時代、何でも他人に与えて貰う事に慣れてしまった者は
「物の本質」が解らないまま直ぐに行動し答えを求め失敗する事が多い様です。
「仮想通貨」で失敗した者の様に・・・
植藤では、冬にサクラを出荷しますのでまだ『木掘り』の技術が受継がれている方ですが・・・
『木掘り』を通してその店の「技術力」が判ると言われた時代も有りました。
きっちりと次の時代に伝えて行かなくてはならない『技術』だと思います。
では、では。
ブログ担当 : もうすぐ上がりのH L前